StarPayが不正検知を追加、決済の守りは多層化へ

StarPayが不正検知を追加、決済の守りは多層化へ

ニュースの概要

ネットスターズは、マルチキャッシュレス決済ソリューション「StarPay」の加盟店向けに、アクルが提供する不正利用対策サービス「ASUKA」を導入すると発表した。StarPayはQRコード、クレジットカード、電子マネー、ポイント、ステーブルコインなど、国内外50以上の決済手段を一つの窓口で扱える仕組みである。今回の協業では、これまでの本人認証や不正利用対策に、ASUKAの不正検知機能を組み合わせる。購入のたびに取引の怪しさを判定し、オンライン決済の安全性を何層にも重ねて高める狙いだ。決済手段が増えるほど守るべき入口も増えるため、基盤側で検知を一括して担う動きとして位置づけられる。

引用元: ネットスターズ、StarPayに不正検知サービスを導入しオンライン決済を強化(Jiji Press)

分析・見解

本人認証だけでは防げない不正が増えている

不正利用の手口は、この数年で大きく変わった。以前は盗んだカード番号をそのまま使う単純な手口が中心だった。いまは偽サイトで集めた情報を使い、本人認証の画面まで突破しようとする例が目立つ。日本クレジット協会の統計では、カード不正利用の被害額は2023年に500億円規模へ達し、その大半が番号盗用型だった。

本人認証は「入口で本人かどうかを確かめる」仕組みである。ただ、認証情報そのものが盗まれると、入口は正規の客として通してしまう。そこで必要になるのが、通った後の行動を見る仕組みだ。ASUKAのような不正検知は、端末の特徴、購入の時間帯、金額の跳ね方などから「いつもと違う」取引を見つけ出す。

50以上の決済手段を束ねる基盤だからこそ意味がある

StarPayの特徴は、決済手段の多さにある。QRコード、カード、電子マネー、ポイントに加え、ステーブルコインまで扱う。加盟店から見れば窓口が一つで済む。しかし攻撃者から見ても、狙える入口が一つにまとまる。

ここで効くのが、基盤側に検知を置く設計である。加盟店が決済手段ごとに別々の対策を入れると、費用も運用も重くなる。基盤で一括して取引データを見れば、ある手段で見つけた不審な動きを他の手段の判定にも生かせる。いわば、町の防犯カメラを一本の回線でつなぐ発想に近い。

厳しくしすぎると、本物の客まで止めてしまう

不正検知には落とし穴がある。疑わしい取引を止めすぎると、正規の客まで買えなくなる。これを「誤検知(=正しい取引を不正と判定すること)」と呼ぶ。EC業界では、誤検知による機会損失が不正被害額そのものを上回るという指摘も多い。

このため、判定は白か黒かの二択にしない設計が主流である。怪しさを点数で示し、低ければそのまま通す。中程度なら追加の確認を求める。高ければ止める。この段階づけができるかどうかが、導入後の使い心地を左右する。今回の協業でも、既存の本人認証と組み合わせる点が肝になる。

今後は決済後の監視と事業者間の情報共有が焦点になる

今後の焦点は二つある。一つは、決済が完了した後も監視を続けることだ。ポイントの不正移転や返金の悪用など、支払いの後に起きる被害も増えている。もう一つは、事業者をまたぐ情報共有である。同じ不正者は複数の店を渡り歩くため、単独の店では見抜けない。基盤と検知サービスが連携する今回の形は、その第一歩とみられる。ステーブルコインのように新しい手段が加わるほど、検知を後付けではなく最初から組み込む価値は高まる。

ビジネスへの影響

加盟店が今のうちに確認しておくべき三つの数字

まず自店の状況を数字で把握したい。見るべきは、不正による被害額、チャージバック(=カード会社から売上を取り戻される処理)の件数、そして不正を疑って止めた注文の割合である。この三つがなければ、新しい検知の効果を測れない。導入前の数値を残しておけば、導入後に何が変わったか比べられる。

小規模な店ほど、不正が一件起きた時の打撃は大きい。商品代金に加えて、発送済みの品物と手数料も失うためだ。月商の数パーセントでも被害が出ているなら、検知の費用は十分に回収できる可能性がある。

導入後は判定の基準を自店向けに育てる

サービスを入れただけでは効果は出きらない。止めた注文の中に本物の客がいなかったか、定期的に見直す必要がある。高額商品や転売されやすい商品は厳しめに、日用品は緩めに設定するなど、商品ごとに基準を分けると運用しやすい。

あわせて、止めた客への連絡手順も決めておきたい。電話やメールで本人確認できる流れがあれば、機会損失を抑えられる。決済基盤の事業者に任せきりにせず、判定結果を読み解く担当者を一人置くことが、導入を成功させる近道である。

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